【エッセイ第19回】

らむりんさん

「きらきらひかることば」

みなさん、こんにちは。私のハンドルはらむりんです。ハンドルを考えることになっていたのが、昨年の年末でした。2003年の干支は羊ですね。私は年女ですので、良い年になりますように…という思いを込めて。また、今年は息子の小学校入学の年でもありました。そこで、息子の大好きな『しまじろう』のともだち、ピンク色のふわふわした、かわいいひつじの女の子、『らむりん』にあやかって決めました。…アッ、歳がバレちゃいましたねー。でも、かろうじて30代前半ですよー!(往生際、悪いですねー)

さて、今日は、息子がたくさんの”きらきらひかることば”の持ち主であることを紹介したいと思います。

息子Tは、今年小学校1年生になったばかりのアスぺ+ADHD症状を併せ持つ男の子です。週4日、校区の小学校に通い、週1日は、校区外の情緒障害特殊学級に登校しています。授業中は着席していられるものの、家族で外出したりするときは、勝手に先に走っていってしまうような多動な面があります。朝、「行ってきます」を言っても、「何か忘れてない?」と、聞くと、「あ、ランドセル…」と、いうようなことを毎朝のように繰返す、不注意な面もあります。ADHDの子どもは、”アイデアマン”だとか、”ひらめき人間”だとか言われることがありますが、息子にもそれを感じるときがあります。とにかく、アスぺとADHDが絡み合っている。思考回路にも、それが影響している子どもには、間違いがなさそうです。

日曜日の朝、子どもたちが先に起きているのに、母親の私がいつまでもふとんでゴロゴロしているとTがそばにやってきて、「ちょっとお口みせて!」と、いきなり彼の指を私の口に入れるのです。「何?」と、聞くと、「あんまり起きないから、毒リンゴが入っているのかと思って…」と、いうのです。私はおかしくって大笑いしながら「ママのこと白雪姫扱いしてくれるのは、Tだけだよ。ありがとう!」と、抱き着いて喜んでしまうのでした。

また別の日です。ほんの10分か15分、Tを一人で留守番させることになりました。留守番は、初めてではなかったし、絵を描き始めると没頭するタイプなので、本人と相談し、「時計の長い針がここにくるまで待ってて。」と、説明し、納得していたのです。しかし、書いていたらくがき帳が終わってしまい、急に不安になって外へ飛び出し、私を探しに来ました。ちょうど私が戻る途中で、運良く会えたので良かったのですが、「もし会えなかったら、もっともっと心配になって、泣いちゃったりするかもね。車の走る道路でそんなふうにあわてちゃうと、ママとっても心配だな。それよりお家で待っていれば、必ずママは帰ってくるからね。今度は約束の時間まで、待っていようね。」と、絵も使って説明しました。すると「あんまり遅いから、ママがおばあちゃんになっちゃうんじゃないかと心配になって…」と、いうのです。”待つことも含め時間の感覚がないのかな…”と思いながら、それにしても、おもしろすぎちゃうこのような言葉に、微笑まずにはいられないのです。

先日、久しぶりにバスに乗りました。年中(5才)の時、降りるバス停を知らせるブザーを他の人が先に押してしまって、自分が押せないとパニックになり、バスから降ろすのも一苦労でした。帰りに座席が埋っていて、自分が座れなくてもパニックでした。しかし、先日は、「ブザーは押せることもあるし、押せないこともあるんだよね。でも運転手さんは降りる人がいることがわかるんだから、Tは怒ったり、泣いたりしなくても大丈夫なんだよ。押したい気持ちもよくわかるんだけどね。」と、あらかじめ話しておきました。すると、「ぼく、2年前は押せないと大騒ぎしてしまいましたよね」と、言ったのです。本当にびっくりしました。ちゃんと覚えていて、今こんなに客観的にそんな話ができるなんて。成長しているなぁ…と感じました。

学校では、「3の付く日は、みんなをやっつける日!」と、言ったり、心臓検診の時、眠るように…と、指示されて「グー、グー」と、わざと、いびきをかく真似をして、お医者さんや先生や友だちに大笑いされたり…。みんなも、”変なやつ!”と、思いながらも、ついつい笑ってしまうようです。

私の尊敬する、ある方に、「このような、きらきらしたことばを書き溜めて一冊の本にしてみたら…」と、言われました。それから密かに書きとめてあります。もちろん世に出すようなものではありませんが。けど、それは、私の宝物になることは、まちがいなさそうです。



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