エッセイ第２０回

【エッセイ第２０回】

ＴＯＹＯＭさん

「今年もやって来ました”夏・休・みぃ”（フゥー）」

はじめまして、ＴＯＹＯＭでーす。みなさん、ステキなハンドルを付けていらっしゃるのですね。私なんてちょっと名前をもじっただけであんまり意味のない、つまらない名前にしてしまいました。私って遊び心のない女…。

さて、もう夏休みに突入してしまいました。中学生になって初めての夏休みです。今年は、小学生の時とは”ひと味違う夏休み”を過ごさせてやりたいと思っているのです。が……、どーしたらいいのかなーと毎日毎日考えてまーす。

私の息子はすごーく真面目な子で与えられた課題は一生懸命に取り組んでくれます。その反面、何事にも自信がなく、自分で決めることがかなり困難です。２，３年くらい前は、自動販売機でジュースを買うのでさえ「迷う」と言って、選ぶのにかなり時間がかかりました。今も時間がかかるのですが、前よりは早くなりました。いつも私が「好きなジュース買っていいよ。」と言ってたのを「飲みたいジュース買っていいよ。」と言いかえたら、買えたこともありました。

夕食のメニューも「今日は何？」と私に聞いてきますが、自分が得意なものでないと、「エー？」と一応意思表示はします。でも、私の方から「今日は、何食べたい？」と聞いても答えてくれません。好物が少ないということもありますが…。

休日に息子に「何処行きたい？」と聞いても、頭の中には行きたい所があるのに「行けない」と言われるのが嫌で、自分の口では言いません。何処に行きたいのか、私がいくつか想像して言ってやって、そこが出てくるとうなずく、という感じで行き先を決めています。だから、本当に行きたいのかどうかはわかりません。何かを決めるのも自信がないし、また、自分の思っていることを口に出すのも自信がないのです。

この自信のなさは、幼児の頃の私の対応に原因があるのかもしれません。その頃の私は、この障害のことを全然理解できてなくて何とか他の子と同じようにやらせようと、たくさん叱ってしまいました。初めての子供だったので、かなり力が入っていたと思います。訳のわからないことで叱られて、嫌だったと思います。その頃、ほめた記憶がほとんどありません。私自身、子育てが楽しいと思ったことなどありませんでした。

今ごろ反省しても遅い？

そんな息子なので、余暇を自分の好きなことを選んで過ごすことも苦手です。やっていいか迷うようです。

午後２時位まで私は仕事をしています。私が帰って来るまで、大好きなパウダービーズクッションを抱いて匂いをかいで、ボーっとしていることが多いのです。それはそれで好きなことなんですけどね。やりたいＴＶゲームがあっても「やっていいよ。」と言ってあげないとあまりやらないのです。

休日の前、金曜日になると息子は「明日はどうするの？」とかならず聞いてきます。だいだい何処かへ出かけることが多いのですが、親もトシなので疲れてたまに「明日はゆっくり家にいよう。」と言うと、最近は「ゲーム（ドンキーコング６４）していい？」と聞いてくることが何回かありました。ゲームは好きなことだったんだ。と確信しました。そこで夏休み一日目は、『お手伝いや宿題をやった後、ＴＶゲームをやっていい』とメモに書いて出かけました。帰ったら夢中でゲームをしていました。

いちいち確認しなくてもメモを見てやれたー！！今度は、メモなしでも口頭で言っただけでやれるか、更に、言われなくても自分の意志でやることができるか、・・・挑戦です。

少しずつ少しずつですよね。焦らずやります。

本当に何が楽しいのか、何が好きなのか親の私も理解できていないことが多いのです。なかなか心の内を見せてくれない、というよりも、それを表現する術をもっていない、いや、表現しても、感じとれる心の余裕が親にない、というところでしょうか？

気持を共有できることが少しでも多くなれば、幸せだな、と感じています。

読み物