【エッセイ第22回】

ぴかぴかさん

「お日さまになりたいな」

こんにちは、私のハンドルはぴかぴかです。家の中で、いつも明るく、あったかいお日さまみたいなお母さんでいられるように…そんな願いから付けたのですが、現実は、なかなか難しいです。この子によって、実に貴重な体験がたくさん。いつも自分を試される修行の日々…。頑張ってはいるんだけど、ぴかぴかでなく、現在ちかちか状態。

元気に生まれたわが子でしたが、8、9ヶ月過ぎくらいからだったかな、何か変だな、って感じたのです。そのころ、私は保育士をしていたのですが、園の子どもとはよい関係がつくれるのに、わが子とはなんかしっくりいかない…。自然な母子相互の愛着関係がなかなか築けない感じ。このままでいいのだろうか…。不安になった私は、子どもに接する時間を多くすれば良いのではないか、と思い仕事もやめました。でも、その後の乳幼児の健康診断ではひっかからない、この不思議な子。ということは、やっぱり、私の育て方が悪いってことなのかな、と思うしかありませんでした。

幼稚園時代の彼の評価は、『とっても個性豊かな、おもしろ〜い子』であり、「大器晩成型ですよ!」でした。小学校入学前の就学健診では、何か、ひっかかってくれることを念じてしまうほどの私。しかし、異常なし。1年生のときの担任からは、たった4行の黒板の連絡を書き写させるために残らせても、「1時間かかっても書けない。」「まったくやる気のない子です。」と言われ、LDというものではないかと聞いても、「はぁ〜、わからないので調べておきます。」がっくり…。そしてとうとう、小学2年あたりから、訴えてきました、当の本人が。

誰もぼくのこと、わかってくれない!」と。

医療機関を予約し、診察を受けた結果は、「障害あり」でした。ホッとした…。

現在、息子は些細なことでも、とても不安定になりやすい毎日です。先日も、静かな街の図書館で、大根が頭の中でランニング状態になり、(本人の辞書では、大混乱の事)周りの人に「じろじろ見るな!笑うな!」と、わめいてしまう。母は、治まることを祈りながら、傍にいて、切り替えのチャンスをうかがう。いっそのこと、みんなにわからないチベット語かアラビア語なんかでわめいてくれたら…って思ってしまう。ちかちか状態から、時々光が消えかかってしまいそう。

ある日、弟は言った。「障害だったら、ゆるされるの?これは、ただのわがままだ!

弟の方に、必死に説明をしている間に、アスペ君は「ごめんなさい、ぼくは犯罪者です。自殺します。」と2階の窓に上り、飛び降りようするのです。このときは、近所のおじさんが間に入ってくださって、説得され、思いとどまってくれました。

学校でも、先生が「ノートに全部書くようにしましょう。」とクラス全員に声をかけたのに、自分だけが言われたと思って、教室を出て廊下(3階)から飛び降りようとしたとか…。書き障害(LD)もあるので、すごく苦手なのです。こんなふうに、自分マイナス面の指摘を受けたり、自分は駄目人間だと思うと、すぐこのような言動をします。本人は真剣ですし、死んでお詫びするしかない、と思うようなのです。

父親の理解もまだまだです。複雑にこじれていく我が家のアスペ君。複雑にからまっていく家族関係。この悪循環、どこからどう手をつけていけばいいのだろう…。

でも、一番つらいのはアスペ君、あなただよね?ごめんね、温かいお日さまになれるよう、お母さん、がんばるね。



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