【エッセイ第36回】

亀蔵さん

「どすこい応援団」

私は亀蔵です。父じゃないですよ。貧乳もついてますし、母歴7年の若輩者です。ハンドルを考えた時、ピピッと頭に二文字が思い浮かんで決めました。内容はあまり考えず、ただ字面で決めました。適当な性格なんです。

うちの子亀ちゃんは、小学校一年生のハッスルボーイ。ねずみ年生まれのせいか、チョロチョロしていて、心配性で、物が無くなったり壊れたりするのが嫌いです。ハッキリとした診断を受けたのは、年少から年中になる春休みでした。前から多分・・・、つま先歩きやオウム返しがあったので、もしかして・・・と思ってはいたものの、ショックでした。

木の葉が芽生え、ピカピカに輝く季節なのに、どうしたらいいか分からず、ただ不安で・・・ちびまる子ちゃんのように、顔に縦しまがついたまま、ずっと過ごしていました。

障害のことを考えると、どんよりとした気持ちになってしまい、現実に向き合えない自分がいました。それでも、いや応なしに本を読んだり、訓練に通うようになって、いろんな人に会って、話を聞いたりするようになって、楽になっていきました。

頑張ろう!頑張らなきゃ!と、肩に力が入っている時は、自分の頑張りの結果を、子供の成長に比例して期待してしまうので、うまくいかなかったです。幸い、幼稚園の先生が、子亀のことをすごく考えてくれて対応してくれたのが救いでした。情報は、全部共有しようと思いました。恵まれていたんです。ありがたや〜。

「お母さん、出来ないことを考えるより、出来るようになったこと褒めて、一緒に喜びましょう!」こんな言葉をかけてもらいました。年中の時は、毎日のように子亀に小さい手紙を書いてくれました。幼稚園であったことの褒め手紙!!またまた、ありがたや〜。

幼稚園で良くしてもらっていたのに、家では・・・トホホ 頭では分かっているつもりでも、若輩者ゆえの数々の非業も・・・ごめんね。

比べない、比べない!子亀だけを見つめる!いっつも、子亀だけをまっすぐ見てるよ!母はあなたより長く生きられないから、生きている限りあなたの応援団になる!あなたの世界を広げる手伝いするよ!安心して、行きたい所に行ってごらん。

診断名を受け入れるというよりも、この子を他の子と同じにしようとしなくなったことで、腑に落ちたようなところがあります。今は、この子が持ってるキラっと光る玉(個性)を、オリエンテーリングするような気持ちで、探し歩こうとしています。これが見つかりにくい所に隠れてるんだな。

診断名は、この子についているしっぽみたいなもの。慣れるまでは厄介な代物。長くなったり短くなったり、決して無くなりはしない・・・。でも、母はそのしっぽにもだいぶ慣れたし、いとおしいぜ!うっふっふ。

この冬休み、「ファインディング・ニモ」を見に行ってきました。ニモは、ひれが片方小さいんだけど、そのことを、本人よりもお父さんが気にして、先回り先回りして心配するんです。この映画を子亀と見てて、自分とダブッてしまいました。「ダメ、ダメ。」って言うことが多い最近、気にかけすぎてもいいけど、手をかけすぎちゃいかんですね〜。分かっているつもりでも、自分に余裕がないと出来ないです。自分の心の健康も大事しないと・・・だめですね。

最後にタイトルですが、どんなことでも どすこい! と受け止められる母になりたい、という願いから付けました。日々休まず、シコ踏みです。どすこい!どすこい!うっちゃり、張り倒しも任せて下さい。

応援団って勝った時は、一緒に狂喜乱舞して、負けた時は、ちゃんと健闘をたたえるものなんです。

失敗もまわり道もいいんだよ。大丈夫!あなたのやり方でやればいいんだよ。そう応援し続けようと思っています。



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