【エッセイ第46回】
さくら草さん
「どっきどきの1年生」
はじめまして。ハンドルはさくら草です。春1番に可憐な花を咲かせる、私の大好きな花のひとつです。去年、この花の苗を買って冬越えをさせて「花を咲かせるぞ〜」と意気込んでいたのに、あえなく枯らしてしまいました。ガーデニング、陶芸、トールペイント、そして最近はパン作りにもはまっている多趣味な(でも、何をやっても極められない・・・)自閉症児を持つ母です。
新潟の寒くて長い冬が終わり春の訪れと共に桜が咲き・・・。このエッセイが載る頃は街は若葉のまぶしい季節になっているでしょうか?わが子はこの春、何とか無事!?「どっきどきの1年生」を修了し小学2年生に進級しました。桜の花を見ていたら、去年の入学式前日のことがありありと心に浮かんできました。
明日の入学式のことを考えると、夕食ものどを通らない私が子供たちと食卓に向かっていると‘ピンポーン’とチャイムの音が・・・なんだろーと出てみると、お昼のTV番組「いい○も」でよく見かけるプーさんのぬいぐるみDENPO・・・??????それでもピンとこなくて、包みを開けてびっくり!なんと、保育園のときにお世話になった介助の先生からの電報だったのです。
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小学校入学おめでとう。○○君のランドセルを背負ったうれしそうな姿が目に浮かびます。友達とたくさん遊んでください。いろんなこと勉強してくださいね。今度会ったら、学校の話を聞かせてくださいね。
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明日への不安でいっぱいの私に、感動の涙があふれたのは、いうまでもありません。声を押し殺しながらもしゃくりあげる私。そんな私を不思議そうに覗き込むわが子に「うれしいんだよ!うれしくて泣いているんだよ!先生も応援してくれているから頑張らないとね・・・。」
入学式当日。入学を祝福してくれているかのように、空は穏やかに晴れ渡り私の心配をよそに、わが子は彼なりに立派に入学式を終えることが出来ました。私はお守りとして、先生からいただいた電報をそっとバッグに忍ばせておきました。それからというもの学習参観日、運動会、マラソン大会など行事のたびにプーさんはいつも私のバッグの中にあります。
わが子に障害があると知り奈落の底に突き落とされたかのように衝撃が走りました。それでも、もがきながら、這い上がりながら生きています。私たちは一人ではないんです。いろんな人から支えてもらっているんです。力をもらっているんです。
そんなことに感謝しながらこれからも生きていきたいと思っています。
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