【エッセイ第54回】

虹色ハートさん

「風に吹かれるたんぽぽのように」

あの暑かった夏も秋の風に変わり、こうして季節は巡り巡ってゆくのですね。はじめまして。私は虹色ハート。血液型はB型。取り得と言えば、自分でもびっくりするぐらい立ち直りが早いことぐらいかな。

そんな私が、いわゆる『障害児の母』としての人生を歩き出すことになったのは5年前。二男が「自閉症」と診断されたその時から始まりました。現在、特殊学級に在籍している小学校4年生。学校が大好きで、先生方やまわりの子どもたちにも恵まれ、今はとてもいい状態で日々を過ごしています。

障害児の母になる前の私は障害児(者)に対してどんな想いを抱いて生きてきたんだろう。自分とは無縁の世界、同情や憐れみ、“さぞ大変だろうな”とか、そんな薄っぺらな気持しか持ち合わせていなかった気がします。そしてこちら側にいる今、以前よりは、少しはひろくなった心と目で、まわりを見る事ができるようになったのではないかと、自負しています。

障害を持つ子の親たちが、いつも太陽のように明るいのは、あの絶望に似た気持ちから、たくさんの涙を流し、やり場のない思いと葛藤し、いろんなものを自分なりに受け入れ、乗り越えてきたから。だからこそ、今のあの笑顔に到達しているのだということを、私は知っています。

いつか読んだ本にありました。『障害を持つ子どもたちは、人々にというテーマを考えさせるメッセンジャーの役割を持って生まれてきた!』って。この子たちがこの世に存在することが愛なのですよね。彼らにも輝ける未来が必ずあると、私はそう信じています。

神様は私という人間を高く評価してくれて、こんなに大きなものを背負わせてくれたけど、自閉の子と歩むこの道が私の生きる道であるならば、受けて立ちます!なかなか面白い人生じゃありませんか。そして、子どもも大事だけど自分のことも大事にしたい、って思います。自分を大切にしないと、結局それは、子どもにだって失礼に当たるのだから…。

先日、久々に「レインマン」のビデオを観ました。ダスティン・ホフマン演じる自閉症の兄とその弟の物語。我が家は弟の方が自閉症だからレインマンとは逆だけど。好きなシーンは、弟にダンスを教えてもらって二人で踊っている、あのシーン。

ある時、お兄ちゃん(大学3年生、東京で青春している)に聞いたんです。順番からいっても私が先にいなくなっちゃうけれど、そしたら、弟のことを遠くからでいいから見守ってくれるかって。

「そんなこと言われなくても、わかってるよ。」

すごーく嬉しかったよ、その言葉。さっすがお兄ちゃん!!私はいつも、この2人の愛する息子たちから、生きる力をもらっているみたい。今までもそうしてきたように、これからもごくありふれた日常の中に小さくてもいい、静かな幸せを見つけながら、私らしく、息子らしく、そして何より人間らしく生きていけたらいいなあ。風に吹かれるたんぽぽのように…。



読み物