【エッセイ第57回】

タイのおかしらさん

「ちょっと 一言」

初めまして。タイのおかしらです。

障害児の母歴19年、障害児に関わる仕事歴10年です。我が息子とつきあって右往左往しながら子育てをし、仕事を続けてきました。幸い私には理解のあるおじいちゃん、おばあちゃんがいたのでラッキーだったのかもしれません。

私も人並みに親としてやれることはやってあげたいとあっちのグループ、こっちの訓練と顔を出していた中で『ドー○ン法』を紹介され、月に1回神奈川へ通うようになりました。3年通いました。

気が付くと、私は疲れ果て、おじいちゃん・おばあちゃんはイライラし、息子は嫌がって泣き叫んでいました。家庭崩壊寸前です。

必死に抵抗する子を見て、ふと思いました。

この子は幸せなんだろうか?家庭がぐちゃぐちゃになっても訓練を続ける意味はあるのだろうか。そして私たちは幸せなんだろうか?

確かに訓練をやめることは不安です。この子の可能性を親が摘み取るような気がして迷いました。でも、なにしろ私は疲れていました。とにかく一旦ここでリセットすることにしました。

その後、養護学校に入りいろいろな先生に出会い、いろいろなお母さんと話をする中で、私の肩の力は抜けていきました。

この子が一番輝いているのは、大好きな人たちに囲まれて笑っている時、自分に合ったお仕事に真剣に取り組んでいる時。…そんなふうに思えるようになりました。この子の幸せは、今自分の持っている能力を十分に発揮させて生きていくことです。そして私たち家族も楽しく、幸せでいたいです。この子の為に誰かが犠牲になっては本当の幸せではないと思うのです。

仕事柄、いろいろなお母さんにお会いします。中には「あの頃の私みたいだなー」と感じるお母さんもいて、思わず「肩の力を抜いて!」と声をかけたくなります。子育て真っ只中にいる時は、そんなこと言われてもなかなか力など抜くことはできないと思います。でもとりあえず「今日、この子の笑顔はどうだったかな?私の笑顔はどうだったかな?」と、振り返ってみてください。明日のことを憂いて、今日を台なしにすることはありません。ちょっとお休みしたって、人生なんとかなります。

“あなたのお子さん輝いていますか?”なんてね (^_-)-☆

タイのおかしらの一言でした。



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