【エッセイ第61回】

ブルーアップルさん

「初めてのコンサート」

再登場となります、ブルーアップル。約二年前のエッセイ(第5回)で娘のお気に入りは『おじゃ魔女ドレミ』だったが、放送終了とともにマイブームも去り、今は結局、ずっと好きだったジブリアニメシリーズに落ち着いている。車に乗ると必ずジブリ映画主題歌のCDをかけている。

昨年の春休み、映画主題歌を何曲も歌っている『井上あずみ』のコンサートがあることを知ったときには、すぐ“娘を連れて行きたい”と思った。だが、よくよく考えてみると問題はいろいろある。まず音量。コンサート会場の音量に耐えられるか?途中でいやがって帰りたがらないか?詩の朗読もあるようだし。そして親子で行くとなるとチケット代もかかる…。テレビ局主催のコンサートだったので何回かチケットプレゼントに応募したが当たらない。ギリギリまで悩むことになった。

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あんなに好きなのだし、春休みの間、特に出かける予定もない。長い休みを持て余しているのが関の山なのだから・・・。でも果たしてコンサートが楽しめるのだろうか。
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そんな時、テレビ局のネット会員であれば割引があると知り、ようやく決心がついた。悩んでいてもしょうがない。経験させてみなければわからないのだから。

不安を残しつつ会場に入ると、すぐにコンサートのプログラムをもらった。これはラッキー!!コンサートの流れ、曲順が書いてある。まさに視覚支援!跳び上がりたいほど嬉しい。このプログラムで本当に救われた。「今はこの歌で、好きな歌まであといくつだ」と説明できたのだ。娘は完全に理解はできないが、なんとなくわかるようだった。

第一部は最初に詩の朗読があった。スクリーンに絵本の絵が映し出され巨大な紙芝居状態だったので話の内容はわからなくても、おとなしく見ていられた。お気に入りの歌もあり、音量も思っていたほど大きくはなく、無事に一部は終わりそうだった。が、終盤にクイズがあった。これは娘には内容がわからず、怒り出したのでお手洗いへ退散。会場の様子は場外でもわかるので、誰もいない所でゆっくり最後の歌を聴いた。

戻ってみると、座っていた席はなくなっていた。後ろの席が空いていたので、仕方なくそちらへ移動。ところが、第二部になると知らない歌が続き、ジレ始めた娘をなだめるのに、ちょうど良い場所になった。

最後はトトロの合唱で終わり、機嫌よく帰ることができた。

娘がはたしてコンサートを楽しむことができるのか不安だったが、内容次第では可能なのだということがわかった。これからも連れて行ってあげたいと思うが、もちろん、そんなに簡単ではなさそうだ。

その後2・3日は、“コンサートプログラム”と“母のバッグ”を持ち、また行こう!と詰め寄る娘との戦いが続いたのだった。



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