【エッセイ第65回】

ヒステリーかあちゃんさん

「Pちゃんとの毎日」

こんにちは。ハンドルはヒステリーかあちゃんです。そのものズバリ、今の私の状態です。

某先生曰く、「怒鳴っても何の効果もありません。」……わかっています。「たたいてはいけません。将来、家庭内暴力となってあなたに返ってくるでしょう。」……その通りだと思います。でも怒鳴らずにはいられない。思わず手が出てしまい、深い後悔と自責の日々を繰り返しています。

私の長男Pちゃん(4才)は、赤ちゃんの時からよく泣く子でした。公園や育児サークルに連れて行っても、慣れるまでの1か月位は、最初から最後までずーっと抱っこで泣きっぱなし。「繊細過ぎるんだね」と言われたこともあり、(そうなのかな・・・)と納得していました。

Pちゃんは2才を過ぎた頃には結構おしゃべりも上手だったし、3才過ぎには数字も読めるようになってきていたので、まさか障害があるなんて疑ってもいませんでした。でも、あまりにこだわりが強かったので(おかしいな・・・)と、思って3才児健診のときに相談し、その後子ども相談センターに通い、そして4才になる少し前に『アスペルガー症候群』と、診断されたのでした。

その時のショックと、その後の葛藤は、とても言葉では言い表せませんが、よくよく関連本などを読んでみると、Pちゃんの言動は典型的なアスペルガー症候群であると認めざるを得なかったのです。

例えば、目に入る車のナンバープレートを声に出して読んでしまう、ドラマの一場面を独り芝居のように延々と繰り返す、かなり前の出来事を昨日あった事のように突然思い出す、…などなどです。

そして、障害に気付くきっかけとなったPちゃんのこだわりとは、私のすることすべてに「もう一回!」と言うことです。くしゃみをしても、おはようと言っても、電気を消しても、お皿をテーブルに置いても、電子レンジでチンしても、戸を閉めても、カギをかけても、家の前の石段を降りても、etc、etc…

1年365日、Pちゃんの「もう1回!」が聞こえない日はありません。しかも、「もう1回!」コールは2回も3回も続くのです。

もうひとつ、自分で出来ることでも私と一緒にやりたがります。靴ひとつ脱ぐのにも、まずは「かあちゃんが(脱がせて)」、次に「自分で」、最後は「一緒に」、と、3回も脱いだり履いたりを繰り返すのです。コートのファスナーの上げ下ろし、ソーセージをフォークで刺す、テレビを消す・・・生活の様々な場面で繰り返されるので、いちいち時間がかかって仕方ありません。

こういったPちゃんのこだわりを無視すると途端に機嫌が悪くなり、恐怖のパニックが始まります。大声で泣きわめきながら「○○する!」「○○しない!」と、肯定と否定を繰り返すのです。この状態が延々と1時間も続くこともあります。Pちゃんの声はかん高く、そしてとてつもなく大きく、近所中に響き渡るのでした。(最近は大パニックの回数は減ってはきましたが。)

このような毎日の中で、私は冷静さを失い、ヒステリーかあちゃんになってしまうのです。

ひとたびPちゃんの機嫌を損ねると、泣く→叱る→さらに泣く→もっと強く叱る→もっともっと泣く、という泥沼が待っているのでした。

そんなPちゃんですが、もちろん機嫌のいい時もあります。父親譲りのロック好きで、海外のロックバンドのビデオを見ながらギター片手に英語の歌(のつもり)を高らかに歌いまくっている様子は微笑ましいし、誰かに話しかけられた時に、返事はしないけど思いっきりの愛想笑いで答える、愛嬌たっぷりの4才児でもあるのです。

色々書きましたが、障害があろうが、毎日泣きわめこうが、私たち家族にとって大事なかわいいPちゃんであることには変わりはありません。これから先も様々な事があると思いますが、私たちだけはずっと、Pちゃんの味方であり続けたいと、思っています。

私も早くヒステリーかあちゃんを返上出来るように、Pちゃんと一緒に頑張るよ!



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