【エッセイ第66回】

くまさん

「出会いと別れと再会と」

今年3月、お別れがありました。息子が幼稚園を転園するので、クラスのお友だちとお別れになったのです。この園に息子は年中の一年間だけ、お世話になりました。

昨年4月、入園して間もない頃、園で『お花見の会』(親子でお弁当を食べる会)がありました。まだお友だちやママたちの顔も覚えていない私は、どうしようかと思っていましたが、同じクラスのママたちは「こっちで食べよ〜」と、気さくに誘ってくれました。

新入生の紹介では、一人ひとりが自分の名前を元気に言うなか、(どうしたらいいだろう?)と、ドキドキしていたら息子の番になると、先生が代わって紹介してくださって、ホッとしました。しかしそのあと、『親子で踊ること』はもちろんできず、『写真撮影』では立っていられないので、私は息子を抱っこして撮りました。(どうして?年中さんなのに…)なんて思われていたかもしれません。

後日行われたクラスの親睦会で息子が『自閉症であること』を伝えるとちょっと驚かれてしまいましたが、徐々に解っていただき、ママたちやクラスのお友だちからはよく、「○○くんね〜、今日元気に遊んでいたよ!」「○○くん、今日はおとなしく話聞いてたんだよ」「運動会のかけっこちゃんと走っていたよ」と、息子の楽しい話をいろいろと聞かせてもらいました。息子が話せない分、園での様子はそんな何気ない言葉掛けから思い浮かべることができ、嬉しくて胸が熱くなることも多かったです。

それになんと!できないと思っていたお友達の家に遊びに行ったり、ラブラブ(息子の一方通行?)のガールフレンドができたり…。

そして徐々に私もクラスのママたちと話をすることや、園での行事に出ることが、楽しみになってきました。

息子はというと、朝からの一連の動作や、ボタンはめ・バイバイなど、できることも増えてきました。介助の先生も付けてもらい、担任の先生、園長先生にとても良くしてもらっていたと思います。

でも、普通の園ではやはり、限界があることが多く、『息子の状態にあったことをして自信をつけてほしい』と感じて、療育のある園へ転園することに決めました。

そんななか私は、クラスの進級文集の表紙を書かせてもらうことになりました。いろいろ考えたのですが、(やっぱり、あの時園庭でみた桜の絵を書こう!)と思い、『桜の下、みんなで楽しく遊ぶ絵』を描きました。

とても下手くそな絵だったのですが、クラスのみんながほめてくれて本当に嬉しかったです。この文集は私と息子の宝物になると思います。

息子は春から違う園に通うことになりますが、ずっとお友だち。いつかまたどこかで会えたらいいな。できたら、桜が咲いた入学式で。

by くまさん(ハンドルは息子が好きなくまからとりました)



読み物