【エッセイ第72回】

ウーピーさん

「ミッション」

新年、あけましておめでとうございます。新潟市自閉症親の会は今春、NPO法人にいがた・オーティズムへ生まれ変わる予定です。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

ヘラクレス改めペ・ラクレス(記念すべき第1回エッセイ執筆者)が、昨今ブームのぺだかピだかポだかいう韓国のどなたかの虜になり『三月だか四月だか五月だかの雪』とかの映画にヤリムリ誘ってくれた。ぺだかピだかポだかは、ちっとも私の心に入っちゃくれなかったが共演されている女優さんが、ずっと印象深く残った。やっぱり、たまに若くてキレイなもの観ないとね。穴蔵から連れ出してくれて、ペ・ラクレスよ、ありがとう。

さてさて、新年あけまして戌年にあやかり、「犬」のお話。

第七回のエッセイの頃は、御歳10歳だった飼い犬のジプリさんも、今は御歳13歳となり先の夏、人間で言うところの脳梗塞みたいな状態に陥り、ぶっ倒れて、入院したの。しばらくは寝たきりで、垂れ流し。人間用の紙オムツ、シッポが出るようにハサミを入れ美しい飾り毛は排泄物で汚れるので思い切りカット。お食事は、ササミを湯がいたのとおかゆをほんの少しずつ。体重が30キロ以上あるジプリさんを床から持ち上げるには、スクワットの強化が必要であることも痛感。真剣に腰ベルトをしての筋力トレーニングを夢想しながらああ、このまま介護生活へ突入かと、思いきや・・・ さすがお犬様。重度知的障害を伴う自閉症の息子とADDな母へ強ーい励ましを贈り続けるというミッションを自認し、飼い犬の意地と名誉にかけて彼女は短期間に回復したのだー。

エクセレント!!

家人が帰宅すれば、今にも倒れそうな頼りない歩き方で千切れんばかりにシッポを振り、荒く苦しそうな息づかいですら、お迎えを欠かすことはない。「私は病気だから、痛いから、辛いから…」と言って怠ける、サボル、知らなかったことにする、ということはない。犬の遺伝子に組み込まれているサガであると言えばそれまでだが、どうしてこんなに健気なのかしら…。お犬様を見習って、私も自分の人生に与えられているミッションを貫きたいものだと、一人、力んでいる。力みすぎて膨らんでもいる。

ぺやピやポには走れない私だが、今年は是非に我が心を捉え離してもらえそうもない、そんな夢に浮かされてみたいと思った。



読み物