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【高機能広汎性発達障害を理解するために】

■1.広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorder; PDD)とは

次の3つの特徴をもつ,生まれつきの発達障害です.脳の器質的な異常によるもので,育て方の問題ではありません.

<< 広汎性発達障害の特徴 >>

(1) 対人関係の異常

視線が合わない,友達関係が作れない,他人と興味を共有できない,感情が伝わらない

(2) ことばやコミュニケーションの異常

ことばが遅れていたり,一問一答になってしまったりして会話にならない,オウム返しと言われるような特有の応答をする,遊びのルールや役割を理解できない

(3) 特徴的なこだわり

興味を持っているものが限られている,周りからみて意味のない習慣にこだわる,くるくると体を軸にして周るなどの常同行動がある,物体の細部にこだわる

(1),(2),(3)いずれも典型的に当てはまるものを自閉性障害(自閉症),(1),(3)のみのものをアスペルガー障害と呼びます.ほかに,他に分類されない広汎性発達障害(PDD-NOS)などが含まれます.

■2.高機能広汎性発達障害(High Functioning Pervasive Developmental Disorder; HF-PDD)とは

広汎性発達障害(PDD)のなかで知的障害をともなわないものを言います.高機能とは知的障害をともなわないという意味です(図1).

アスペルガー障害のほとんどと,自閉性障害やPDD-NOSの一部が含まれ,自閉症の軽症例と言えます(図2).こどもの200人に1人くらいいると言われています.障害として認知されないと,わがままや性格の問題として扱われ,ひいては不適切な対応がなされ,不登校やさまざまな不適応行動に発展するケースが多くみられます.



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